昨日の「2023年上半期の同人音声ランキング その1」は今年の上半期に発売された作品の中で
個人的に一際良いと思った、印象に残ったものをランキング形式で紹介しました。
ここでは同人音声側に限定した業界の情勢に関するあれこれを語ります。
長めの文章なのでゆっくりご覧ください。
2年続いたブームもほぼ終息
今年の上半期で紹介するトピックはふたつ。
割引とは違うタイプの期間限定とオホ声流行の落ち着きです。

前者は私が散々話題にしてる、1000円の作品を最初の1ヵ月だけ100円で売る手法ではなく
発売開始から1~2週間限定でボーナストラックやCGをつける売り方のことを指します。
以前は一部のサークルさんがちょこちょこやる程度だったのが
現在は大手さんを中心に新たな販促として取り入れるケースをそれなりに見ました。

最初に言うと私はこのやり方について少なくともマイナスの感情は持ってません。
販売サイトが定めた売り方から逸脱してるとは言えませんし
何より作者さんが追加コンテンツに対して時間、労力、お金を費やしてるからです。
100円商法よりも遥かに真っ当な手段で勝負してます。

1ヵ月も経たずに引っ込めるのはもったいなく感じますけど
本人がそれを納得してるのなら別にいいんじゃないでしょうか。
現時点ではおまけ程度の比較的軽い内容が主流なのもあります。

ただし、期間限定の特典をつけるのが当たり前の状況にだけはなって欲しくないです。
同人音声はただでさえ以前よりも制作コストが上がってるのに
つけるのが標準になったら中小のサークルさんはさらに苦しくなります。

バイノーラル録音が当たり前、KU100が当たり前という風潮が
以前から割と浸透してるところがあるだけに
今のように「つけてる人もいる」あたりの状況で落ち着くことを願ってます。

後者は2021年から始まったオホ声ブームに陰りが見え始めてます。
引き続き好調なサークルさんももちろん存在しますが
大手、中小を問わずオホ声作品のDL数が伸び悩む傾向が見られます。

DLsiteで「オホ声」をキーワード検索すると音声は2043本がヒットします。
その中で2021年以降に出たものは96.6%にあたる1973本です。

「たった2年でこれだけ出たらそりゃ飽和するよな」って思います。
今年も6月30日の時点で753本出てますし、以前の勢いを今後も維持するのはもう無理と見てます。

でもオホ声作品が氾濫したからといって人気が完全になくなるわけではありません。
先日DLsiteで公式ジャンルに認定されたことからもわかるように
引き続き一定の存在感を維持できると思います。
オホ声に並々ならぬ情熱を注いで制作してる人たちは普通に生き残るんじゃないかなと。

その一方で大して好きでもないのに「人気だから」「売れるから」などの理由で
とりあえず作ってる人たちはそう遠くない未来に淘汰されるでしょう。
というか既にされ始めてます。
流行というバフの効果がなくなり実力や品質で勝負する状況へと変わりました。
成長よりも膨張と呼ぶほうがしっくりくる現状
最後に業界全体の雑感を語って締めくくります。
まず新作数ですが上半期に出た音声の総数は4307本でした。
2022年の上半期が2860本だったので約1.5倍に増えてることになります。

傍から見るとものすごい勢いで成長してるように思えるかもしれません。
しかしこれらの多くは粗製乱造サークルが似たような作品を登録してるだけです。
名義や中の人が同じサークルさんが1日に2本3本出すのが当たり前になってます。
これのおかげで良質な作品を見つけるのが以前よりも難しくなりました。

私は今の状況を「成長」ではなく「膨張」と呼んでます。
そして膨張がこのまま続いたらどうなるかは皆さんもなんとなくわかるのではないでしょうか。
そういう事態にならないように頑張っていくつもりです。

ネガティブなことばかり書いてると読んでて楽しくないでしょうから
今後どうすれば同人音声が良い状況になるか私なりに考えてみました。
結論から言うと新しいブームを生み出せれば多少は好転するんじゃないかと見てます。

同人音声の今までを振り返ると常に何らかのブームが発生してました。
2013~14年は耳かき、15年はオナサポ、16~17年はASMR、18年は耳舐めといった感じです。
そして現在はオホ声がある程度終息し、それに代わる新しいブームが起こるのを待ってる段階です。
今までの流れを考えれば遅くとも来年中には特定のジャンルが人気になると予想してます。

「粗製乱造サークルがいるから新しいブームが起きても潰されるんじゃない?」と思う人がいるでしょう。
しかし、そのジャンルが特定の条件を満たせればそれを防ぎつつ盛り上げられる可能性があります。
ヒントは「オホ声音声がなぜここまで短い期間に量産できたか」です。
これについては新しい流行が発生した時にでも改めて話します。

以上をもって今年上半期の総括とさせていただきます。
下半期も良い作品が多く出てくれることを期待してます。